「もしかして、自分のこの生きづらさは性格のせい？」

「精神疾患になりやすいMBTIってあるのかな？」

そう思って、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。
人気の性格診断「MBTI（16パーソナリティ）」と、メンタルヘルスを結びつけて考えてしまう気持ちは、自己理解を深めたいという自然な欲求の表れです。

この記事では、そうした疑問にお答えしつつ、MBTIをあなたのメンタルケアに役立てるための具体的なヒントを、心理学的な側面から深く掘り下げて解説します。

この記事を読むことで、あなたは以下のことを得られます。
　　• 一般的に「精神疾患になりやすい」と言われるMBTIタイプの傾向
　　• なぜMBTIと精神疾患が関連付けて語られるのか、その心理学的な背景
　　• あなた自身のMBTIタイプが持つ「精神的な弱点」と、それを乗り越える「強み」
　　• 具体的なストレスサインと、今日からできるセルフケア方法

この記事が、あなたが自分自身をより深く理解し、健やかな毎日を送るための一助となれば幸いです。

1. 【最重要】はじめにお伝えしたいこと：MBTIは精神疾患を診断するツールではありません🙅‍♀️

本題に入る前に、最も大切なことをお伝えします。

MBTI（16パーソナリティ）は、精神疾患を診断したり、特定のタイプが病気になりやすいと断定したりするための医療ツールでは決してありません。

MBTIは、スイスの心理学者カール・ユングの理論を基に、個人の心の自然な傾向やエネルギーの方向性を理解するために作られた性格検査です。

あくまで「利き手」のように、どちらの心の使い方を好むかを示すものです。

この記事で紹介する内容は、性格傾向とストレス反応の関連性についての一般的な考察であり、特定のタイプにネガティブなレッテルを貼ることを目的としていません。

もしあなたが深刻な心の悩みを抱えている場合は、この記事だけで判断せず、必ず専門の医療機関やカウンセラーに相談してください。🙆‍♀️

2. MBTIタイプ別｜精神疾患になりやすい・病みやすいランキング

読者の皆さんの関心が最も高いであろう、「病みやすい傾向のあるMBTIタイプ」のランキングからご紹介します。これは、様々なウェブサイトやコミュニティでの議論を基にした、あくまで一般的な傾向です。

順位	MBTIタイプ	特徴
1位	INFP（仲介者）	理想主義で繊細。 現実とのギャップに苦しみやすい。
2位	INFJ（提唱者）	高い理想と共感力を持つがゆえに、 他人の感情に疲れやすい。
3位	ISFP（冒険家）	感受性豊かだが、 感情を内に秘めやすくストレスを溜めがち。
4位	INTP（論理学者）	独自の思考世界を持つが、社会とのズレを感じやすく孤立しがち。
5位	ENFP（広報運動家）	好奇心旺盛だが、エネルギーが散漫になりやすく燃え尽きやすい。

このランキングを見ると、内向型（I）、直観型（N）、**感情型（F）**の組み合わせを持つタイプが上位を占めていることが分かります。

これは、彼らが持つ「内省的で、理想を追求し、共感性が高い」という性質が、外部からのストレスを敏感に感じ取りやすいためと考えられます。

しかし、これは決して「これらのタイプが弱い」ということではありません。

むしろ、その繊細さが持つ豊かな感受性や深い洞察力は、他にない強みにもなり得ます。

3. なぜMBTIと精神疾患が関連付けて語られるのか？

ランキングだけを見て「やっぱり自分はダメなんだ」と思うのは早計です。ここでは、なぜ特定の性格傾向がストレスと結びつけられるのか、その背景にある「心理機能」という概念から解説します。

3.1. ストレスの鍵を握る「劣等機能」の暴走

MBTIでは、各タイプに「主機能（最も得意な心の働き）」から「劣行機能（最も未熟で意識しにくい心の働き）」まで、4つの主要な心理機能があるとされています。

• 主機能: あなたの「利き手」。自然で最も頼りになる機能。
• 補助機能: 主機能をサポートする「サブの利き手」。
• 第三機能: 比較的成長の余地がある機能。
• 劣等機能: 最も未発達な「苦手な手」。意識の外にあり、コントロールが難しい。

普段、私たちは主機能や補助機能を巧みに使って生活しています。

しかし、強いストレスや疲労にさらされると、この最も未熟な「劣等機能」がまるでパニックを起こしたかのように暴走し、普段のあなたからは想像もつかないような不健康な行動を引き起こすことがあるのです。

例えば、普段は静かで思いやりのあるINFP（主機能：内向的感情）が、極度のストレス下では劣等機能である外向的思考に囚われ、他人の欠点を粗探ししたり、非効率な点を厳しく批判したりすることがあります。これが「病んでいる」状態の一つの現れ方です。

4. 【タイプ別】精神的な弱点・強みとストレス対処法

ここでは、16タイプを4つのグループに分け、それぞれのストレスの原因、サイン、そして回復のためのヒントを解説します。

4.1. NFグループ：理想と共感を追い求める人たち（INFP, INFJ, ENFP, ENFJ）

　　特徴: 理想主義で、人間関係や価値観を大切にする。他者への共感能力が高い。

• INFP（仲介者）
　　o 抱えやすいストレス: 自分の高い理想と現実社会とのギャップ。自分の価値観が否定されることへの強い苦痛。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的思考）: 細かい事実にとらわれ、他者や自分を過度に批判的・分析的に攻撃し始める。
　　o 精神的な強み: 強い内的価値観を持っており、困難な状況でも意味や希望を見出す力がある。
　　o セルフケア: 一人で静かに過ごし、日記や創作活動で感情を表現する時間を作る。信頼できる少数の友人と深く語り合う。
• INFJ（提唱者）
　　o 抱えやすいストレス: 人々の期待に応えようとするプレッシャー。他人のネガティブな感情を吸収しすぎてしまうこと。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的感覚）: 衝動買い、過食、過度な飲酒など、感覚的な快楽に無計画に溺れる。
　　o 精神的な強み: 長期的なビジョンを描く力があり、逆境の中でも未来を信じることができる。
　　o セルフケア: 物理的に一人になれる空間を確保する。自然の中を散歩したり、瞑想したりして五感をリラックスさせる。

4.2. NTグループ：知性と合理性を探求する人たち（INTP, INTJ, ENTP, ENTJ）

特徴: 論理的で分析的。知的好奇心が強く、戦略的に物事を考える。

・INTP（論理学者）
　　o 抱えやすいストレス: 自分のアイデアが理解されない、または非論理的なルールや感情論に従わなければならない状況。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的感情）: 普段は抑えている感情が爆発し、他人の気を引こうとしたり、不適切に感情的になったりする。
　　o 精神的な強み: 客観的な分析力で、感情的な混乱から距離を置き、問題の根本原因を見つけ出すことができる。
　　o セルフケア: 興味のある分野に没頭し、知的好奇心を満たす。複雑なパズルやゲームに取り組む。
• INTJ（建築家）
　　o 抱えやすいストレス: 計画通りに物事が進まないこと。無能さや非効率なシステムに直面すること。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的感覚）: INTPと同様に、普段は無視している感覚的な快楽（ジャンクフード、危険な運転など）に衝動的に走る。
　　o 精神的な強み: 強い意志と計画性で、困難な目標も着実に達成していく力を持つ。
　　o セルフケア: 信頼できる専門家や友人に、自分の計画やビジョンについて壁打ちしてもらう。達成可能な小さな目標を立て、成功体験を積む。

4.3. SJグループ：責任と安定を重んじる人たち（ISTJ, ISFJ, ESTJ, ESFJ）

特徴: 現実的で責任感が強い。伝統やルールを尊重し、社会に貢献しようとする。

• ISFJ（擁護者）
　　o 抱えやすいストレス: 他人のために尽くしすぎて、自分のニーズを無視してしまうこと。自分の貢献が認められないこと。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的直観）: 根拠のないネガティブな可能性ばかりを考え、未来に対して極度に悲観的になる。
　　o 精神的な強み: 忍耐強く、献身的。大切な人を守るためなら、粘り強く努力を続けることができる。
　　o セルフケア: 「No」と言う練習をする。自分のための時間（趣味など）をスケジュールに組み込む。
• ESTJ（幹部）
　　o 抱えやすいストレス: 物事が無秩序でコントロールできない状況。他人が責任を果たさないことへの苛立ち。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 内向的感情）: 普段は見せない個人的な感情に圧倒され、過度に感傷的になったり、自分が誰からも好かれていないと感じたりする。
　　o 精神的な強み: 現実的な問題解決能力が非常に高い。混乱した状況を整理し、秩序をもたらす力がある。
　　o セルフケア: 運動やスポーツで物理的にエネルギーを発散させる。信頼できる家族やパートナーにだけ弱音を吐く。

4.4. SPグループ：自由と今この瞬間を生きる人たち（ISTP, ISFP, ESTP, ESFP）

特徴: 五感で世界を体験し、柔軟性と即興性を楽しむ。現実的で行動的。

• ISFP（冒険家）
　　o 抱えやすいストレス: 自分の価値観や美学に反することを強制されること。感情表現の場がないこと。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 外向的思考）: 冷たく批判的になり、物事の欠点ばかりを指摘する。
　　o 精神的な強み: 優れた美的感覚と「今ここ」を楽しむ力で、日常の中に美しさや喜びを見つけることができる。
　　o セルフケア: 音楽、アート、ダンスなど、五感を使った自己表現活動に没頭する。動物や自然と触れ合う。
• ESTP（起業家）
　　o 抱えやすいストレス: 退屈、束縛、行動の制限。抽象的で終わりのない議論。
　　o ストレスサイン（劣等機能: 内向的直観）: 根拠のない陰謀論や漠然とした未来への不安にとらわれ、普段の現実的な感覚を失う。
　　o 精神的な強み: 抜群の行動力と危機管理能力。ストレスフルな状況でも、今何をすべきかを瞬時に判断できる。
　　o セルフケア: 新しいスキルやスポーツに挑戦する。気の置けない仲間とアクティブに過ごす。

※紙面の都合上、一部のタイプのみ詳細に解説しました。他のタイプも同様の構造で理解することができます。

5. MBTIをメンタルヘルスに活かすための正しい使い方

MBTIは、あなたに「病みやすい」というレッテルを貼るためのものではありません。むしろ、自分を健やかに保つための「取扱説明書」として活用することができます。

5.1. 自己嫌悪ではなく「自己理解」のツールとして使う

自分のストレスサイン（劣等機能の暴走）のパターンを知っておけば、「ああ、今自分は疲れているんだな」と客観的に認識し、早めに対処することができます。弱点を知ることは、対策を立てるための第一歩です。

5.2. 他者理解と良好な人間関係の構築

自分とは違うタイプの人が、なぜストレス下でそのような行動をとるのかを理解するヒントになります。これにより、不必要な対立を避け、より思いやりのある人間関係を築くことができます。

まとめ：自分の「取扱説明書」としてMBTIを活用しよう

この記事では、MBTIと精神疾患の関係性について、ランキングや心理機能の観点から解説してきました。

重要なポイントをもう一度おさらいします。

　　• MBTIは医療診断ではない。
　　• 「病みやすい」と言われるタイプは、繊細さや共感性という強みも持つ。
　　• ストレス下では、誰でも「劣等機能」が暴走し、不健康な状態になり得る。
　　• 自分のストレスサインと対処法を知ることが、メンタルケアの鍵となる。

MBTIは、あなたという存在を縛るものではなく、あなたがより自分らしく、健やかに生きていくためのヒントを与えてくれる強力なツールです。

どうか、この記事をきっかけに、ご自身の素晴らしい個性と、時には顔を出す弱さの両方を優しく受け入れ、大切にしてあげてください。

そして、もし心の辛さが続くようであれば、一人で抱え込まず、必ず勇気を出して専門家の扉を叩いてください。

一覧に戻る